この一ヶ月、大阪府警の相次ぐ不祥事に苦情の電話が殺到しています。
記憶に新しいのが富田林署から逃走した樋田淳也容疑者の件ですが、府民が怒っている理由はこれだけではないのです。
ネットを見ていると「大阪府警は無能」という言葉まで飛び出しています。
なぜ府民はそこまで怒っているのでしょうか?
目次
大阪府警は無能?苦情が殺到する理由
警視庁のホームページによると、悲しいことに大阪府は東京都に次いで犯罪が多い都道府県となっています。(参考:平成29年の都道府県別刑法犯の認知件数、検挙件数、検挙人員)
犯罪が起きても「また大阪か」と感じている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、犯罪が多い分これまでは警察が取り締まりを強化したり、一定数以上の犯人を検挙するなどして、府民はある程度安心して生活することができていたのです。
それがここ最近、打って変わって「大阪府警は無能」と言われるようになり、この一ヶ月で苦情が殺到するまでに。
大阪府警に寄せられた苦情の件数は、この一ヶ月で2400件を超えています。
府民の苦情の内容について確認していきましょう。
【1】富田林署から逃走した樋田淳也容疑者の件
ずさんな富田林署の実情
まず、富田林署から逃走した樋田淳也容疑者の件ですが、府民はただ逃走されたことについて怒っているわけではありません。
もちろん「みすみす逃した」ということに対しての怒りは少なからずあるでしょう。
しかし逃走を許してしまった背景を紐解くと、ずさんな富田林署の実情があるのです。
- 約30年間面会室のアクリル板の修理や交換をしなかった(樋田容疑者は、アクリル板を押し破り逃走した)
- 面会した弁護士が帰宅したのは午後8時だったが、逃走に気づいたのは9時43分と、逃走するのに十分な時間を与えてしまった
- 弁護士が帰宅した際、富田林署には20人以上の署員がいたが、面会が長すぎることに誰一人として気づかないまま2時間が経過した
- 面会室の扉に設置されたブザーの電池を一年以上前から抜いていた
- 逃走する際に、警察署の帽子を盗まれ変装に使用されている疑いがある
- 3メートルの塀を「無意味」にする脚立を、塀のすぐ脇に置きっぱなしにしていた
つまり、富田林署がきちんとしていれば、樋田容疑者の逃走を防ぐことができた可能性が高いのです!
これだけ理由があれば、府民が怒っているのはは頷けますよね。
初動の遅さ
樋田容疑者は、これまで何度も犯罪を犯しています。
窃盗だけなく女性への乱暴、強盗や傷害、警察車両への放火などです。
そんな犯罪者が野放しになったとすると、府民としてはすぐに教えてほしいものです。
しかし、大阪府警が樋田淳也容疑者の逃走を発表したのは、府警が気づいた約9時間後。
つまり府民は、この事実を知らないまま一晩を明かしたということになります。
そのため、「府警は樋田容疑者逃走の失態を隠そうとした?」との疑いも持たれています。
この初動の遅さが、府民の不信感を生んでしまった原因なのです。
樋田容疑者確保にいたっていない
とはいえ、逃がしてしまったものは仕方がありません。
逃がしてしまったのであれば、見つけて再度確保したら良いのです。
樋田容疑者逃走直後は、府民も「どうせすぐ捕まるだろう」と考えていました。
樋田容疑者は163cmと身長も小柄な上に、中肉中背と体格もいたって普通。
普段から体を鍛えている警察官が寄ってたかれば、すぐに確保できそうな印象です。
また目撃情報も多数寄せられていること、警察官が200人体制で捜索していることからも、すぐに発見されるだろうと思われていたのです。
しかし逃走から一ヶ月経っても樋田容疑者確保には至らず、この間にも樋田容疑者と思われる窃盗事件などが頻発しており、府民の怒りもピークに。
府民からは、以下のような声が噴出しています。
富田林署の大チョンボやわ。税金えろうかけているんやろうに、何をやってるんだか。ええ加減にしてほしいわ。警察もたくさんおるから安全といえば安全なんやろうけどな……。隣の家も防犯カメラつけた言うとったけど、どれだけ役に立つのか。
(引用: 週刊女性PRIMEより)
現在は3000人体制で捜索したり、樋田容疑者の等身大パネルを設置するなどして情報の呼びかけを行っていますが、いまだ確保には至っていません。
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【2】逃走犯と間違えてバイクの高校生を追跡し、事故死させる
8月30日の夜、大阪の警察署に樋田容疑者と似た男がいるとの通報がありました。
これを受けて警察は、パトカーでオートバイの男を追跡。
追跡中にオートバイがバス停に突っ込み、この男性は死亡しました。
しかしこの男性、樋田容疑者とは似ても似つかない高校生だったのです!
これだけ聞くと、「なんてひどい話だ・・・!」という印象を受けるのですが、高校生がバイクの停止を振り切り逃走したこと、また一方通行を逆走したり信号無視をしていたことから、警察の追跡行為は適正だったとの見方も。
しかし府民からは「そもそも樋田を野放しにしなければ、高校生は死なずに済んだ」というお怒りが。
府民としても、樋田容疑者をなかなか確保できない警察に対して、イライラしているのでしょう。
【3】カーチェイス&7発発砲の末、犯人を取り逃す
こちらは樋田容疑者とは全く関係のない事件ですが、9月12日に警察が不審者を追跡し、発砲した上に犯人の一人を取り逃すという事件が発生しました。
事件の詳細は、以下の通りです。
同署によると、近くで発生した車上狙い事件をパトカーで警戒していた男性の巡査部長(27)と巡査長(27)が、ライトを消して停車している不審なシルバーの乗用車を発見。職務質問しようとしたところ急発進したため追跡した。
しばらくすると、末次容疑者の運転する黒い車が割って入り追跡を妨害したが、カーチェイスの末に2台を袋小路に追い込んだ。すると、末次容疑者はバックしてパトカーに体当たりしたため、巡査部長が2発発砲。発砲で末次容疑者は、肩や足にけがを負い病院に搬送されたが、命に別条はない。検査では覚醒剤とみられる反応が出たという。
一方、巡査長もシルバーの乗用車に5発威嚇射撃をしたが、運転席の男は車を前後に動かし続けて抵抗。巡査長が応援の警察官を呼びに行った隙に、徒歩で逃走した。
(引用:東スポWeb『大阪でカーチェイス&発砲7発も犯人1人取り逃し 大阪府警またも失態か』)
警察官になっても、一生のうちで実際に拳銃を使用する警察官はほとんどいないと言われる中、2人で7発発砲というのはなかなかありません。
それだけ犯人の抵抗が強かったことがわかりますが、そんな凶悪な犯人をみすみす取り逃してしまったことについて、「大阪府警がまた失態」という印象が強いのです。
そんな府警に対して、府民のさらなる不信感が生まれているようですね。
まとめ
今回は、大阪府民が怒っている理由について、解説しました。
まとめると・・・
- 富田林署から逃走した樋田淳也容疑者の件
- 逃走犯と間違えてバイクの高校生を追跡し、事故死させる
- カーチェイス&7発発砲の末、犯人を取り逃す
この3つについて、府民は「無能」と感じているようですね。
個人的には、樋田容疑者の件は確かにひどいと感じますが、高校生の件やカーチェイスの件は、警察の対応は適切だったようにも感じます。
しかし、一度不祥事があると、不信感がどんどん膨らんでしまうという府民の気持ちもわかります。
大阪府警としては、早く樋田容疑者を確保して、府民の信頼回復に努めていきたいものです。
【追記】
9月29日に、山口県周南市で万引き中の樋田容疑者の身柄が確保されました。
これで府民の信頼回復かと思われましたが、大阪府内や関東圏にいると睨んで捜査していた府警に対して、厳しい声がとんでいます。
樋田容疑者が堂々と顔出ししながら日本一周の旅を続けていたにも関わらず、逮捕できなかったこと、大阪府警が発見したわけではないなどの理由で、より責任を追及される形となってしまいました。
10月24日の報道で、富田林署長や逃走時に留置管理を担当していた署員数人を懲戒処分にすると発表されています。
G20前に拳銃が盗られる大失態が追加されましたね